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韓国・ソウルの交通事情

ソウルの街風景からタクシー業界を考察する

この情報は2023年05月時点にて筆者がソウルへ訪問し、市内を運転しながら感じた率直な感想を述べた文章です。

ソウルのタクシーの現況

ソウルのタクシー、急な値上げ

ソウルは韓国の最大都市であり、首都であります。他の大都市と同様、公共交通機関が便利です。ソウルは都市高速や幹線道路の幅が広く、道路容量が大きく設計されています。また、電車とバスでは不便な地域が存在するため、タクシーの需要も多いです。

ここ10年、ソウルのタクシー運賃は給与水準や物価水準に反して、抑えられ続けました。しかし、タクシー運転手らのピークタイムでの乗車拒否が横行し、ユーザーの需要に応えられない状態が続いたことが問題視され、2023年になり急激が値上げがなされました。

韓国はタクシーが安い?
それも今は昔

2023年、ソウル市域のタクシー運賃は改定され、なんと3割~4割に至る急激な値上げを実施し、一時期、深夜需要はほぼ無くなるくらいに至るなど、需要の低下が顕著でした。

23時-2時の中型車のワンメーターが、
なんと1.6km680円前後!

ワンメーター料金だけを見ると大阪(1.7km680円)より高いという逆転現象が起きているのです。韓国のタクシーは、たしかに安いですが、昔と比べて、いうほど安くありません。

タクシー代シミュレーション

ちょい乗りの場合

明洞(ミョンドン)から東大門(トンデムン)まで2.6km程度です。
渋谷から青山一丁目までも2.6km程度です。
信号待ちは合計3分だとします。

ソウル
通常 6200ウォン・630円
2割増 7440ウォン・760円(22時-23時, 2時-4時)
4割増 8680ウォン・880円(23時-2時)

東京
通常 1300円
2割増 1600円(22時-5時)

そこそこの距離の場合

明洞(ミョンドン)から江南(カンナム)まで大体7.5km程度です。
バスタ新宿から東京駅八重洲口も7.5km程度です。
信号待ちは合計6分だとします。

ソウル
通常  10500ウォン・1060円
2割増 12600ウォン・1280円(22時-23時, 2時-4時)
4割増 14700ウォン・1490円(23時-2時)

東京
通常  3400円
2割増 4100円(22時-5時)

距離が伸びると日本より安さが顕著になるものの、ちょい乗りのときはあまり得した気分にならないことがわかります。

ソウルのタクシーの種類

ソウルのタクシーは様々な種類があり、台数も豊富なので様々なシーンに利用できることがいいところです。また、ラグジュアリーなサービスも豊富ですので、選択肢が豊富です。

流れている車を捕まえて「ちょっとそこまで」と言えるような一般のタクシーのみならず、完全予約制のハイヤーに似たようなサービスも存在します。

中型タクシー

普通のタクシーと呼ばれるもの。流れている車両に乗ることができ、アプリ配車も受け付けるような典型的な「タクシー」です。
法人タクシー・個人タクシーも存在し、台数は最も多い分類で、個人タクシーのほうが安全なイメージがあります。

模範タクシー

普通の中型車と違い、より上品なサービス、より快適な車両、より安全なドライバーのみが運転する資格を得ます。個人タクシーを取得し5年間無事故で運行した者のみが模範タクシーのドライバーになれます。
中型車より料金は高いものの、流しで乗車ができます。

大型タクシー

模範タクシーと同じ運賃です。アルファードより一回り大きい車両で動いています。荷物が多いときにはおすすめ。流しで乗車ができなくもないが、台数が限られているので予約しましょう。

高級タクシー

日本でよく言われる「ハイヤー」に近いもので、完全予約制です。メーターベースで、ダイナミックプライシングなので、同じ距離でも料金が変動します。kakao black, uber black, rimo black, tada plus, tada next, i.m black, papa blackがこれに該当します。

日本の電話番号のまま韓国のタクシー配車アプリに登録できるので、高級タクシーも利用できます。韓国では既に事前確定運賃やダイナミックプライシングが導入されているので、より安心に使うことができると考えます。

運賃

割増時は、日本と違って、メーターの上がり方が早くなるのではなく、メーターの動きは同じで支払金額に数割分上乗せされるシステムです。
なので、中型・模範・大型に乗ったときに、このサイトに載っている初乗り料金と相違する場合があります。

参考:
中型
22時-23時・2時-4時 KRW5800
23時-2時 KRW6700
模範・大型
22時-4時 KRW8400

分類初乗り距離料金時間料金深夜割増
中型4800
/1.6km
100
/131m
100
/30s
22-23 2割増
23-02 4割増
02-04 2割増
模範7000
/3km
200
/151m
200
/36s
22-04 2割増
大型同上同上同上同上
kakao black8000
/0m
100
/71.4m
100
/15s
ダイナミック
プライシング
0.7倍-4.0倍
uber black8000
/0m
100
/71.4m
100
/15s
同上
rimo black8000
/0m
200
/125m
200
/24s
同上
tada plus5000
/2km
122
/100m
154
/30s
同上
tada next4000
/750m
100
/130m
100
/45s
同上
i.m black7000
/1km
100
/85m
100
/24s
同上
kakao venti4000
/0.8km
100
/123m
100
/40s
同上
i.m5500/0.75m100/110m100/30sダイナミック
プライシング
0.7倍-4.0倍
及び
22-23 4割増
23-02 5割増
02-04 4割増
ソウルのタクシー運賃リスト。単位は韓国ウォン。
参照元:https://news.seoul.go.kr/traffic/archives/1659

ソウルのタクシー配車アプリの現況

韓国の配車アプリシェアはカカオTが圧倒的で、ほかはカカオTで捕まらない時に活用すると言うようなイメージです。カカオTの他に、UberとTmapが合資したUTというアプリや、乗車拒否や選り好みをしないと謳っているi.Mが目立ちました。

ソウル市内を走るi.Mの車両(左側)と個人タクシー(右側)の車両

韓国のタクシーは、日本よりも新しい制度を多く取り入れており、昨今日本国内にて話題である事前確定運賃・ダイナミックプライシングを既に現場にて適用しています。

その背景には、ドライバーの地理不案内や遠回り問題、底質ドライバーの多さ、タクシー利用に不安を感じる人が多いことが挙げられます。日本のタクシーは安全とは言われているものの、実際にタクシーを使うと、上記のような事柄は専ら他人事ではないように感じます。

日本にも新しい制度を導入し、より選択の幅が広がるといいですね。